フォトニックインターネットラボ(PIL)は、新しいインターネットの時代を切り拓き、電気処理の限界を超える次世代フォトニックネットワークにおける世界標準となる技術開発を推進することを目的に、2002年11月より沖電気工業株式会社、日本電気株式会社、富士通株式会社、古河電気工業株式会社、三菱電機株式会社、日本電信電話株式会社の賛同企業6社により活動を開始致しました。
光通信技術の研究開発の黎明期には、日本の産業界・学会から多くの技術が生まれ、世界の研究をリードしてまいりました。近年、インターネットの利用はめざましく進み、高速大容量の光通信技術の重要性が高まる中、日本発の技術を標準化団体に積極的に提案するなど、世界へ向けたさらなる貢献が必要であると考えられます。
次世代ネットワークプロトコルは、ITU-T、IETF、OIFなど標準団体で標準化が進められております。近年のインターネット標準化の活動におきましては、単に技術提案をするだけではデファクト標準には対応できず、提案と同時にRunning Codeを実装し、実際的・実用的な技術であることを示すことが必要です。従って、どんな技術開発を進めるべきかという選択は益々重要となっています。
PILは、このようなグローバルなデファクト標準化の活動に対応するため、研究開発を進める上で相補的なGive & Takeの関係を築くための場であり、新しいネットワーク技術を開拓し、実際に利用できるプロトコルの研究開発を推進しています。
PILでの具体的な活動は、現在は2つのワーキンググループ(WG)で行われています。標準化戦略WGは、メンバの標準化寄書や提案技術テーマを掘り下げて議論する技術討論の場であり、標準団体の動向の情報交換や標準化を目指す技術課題についての討論をすすめ、IETF55回会合での連名での寄書提出などの成果を挙げております。また、技術検証WGは、各企業で開発を進めているLeading Edgeとなるプロトコルコード(次世代の標準となることを目指しているプロトコルコード)の技術検証を行う場であり、基本検証としてRSVP-TEによるシグナリングプロトコルの検証実験を開始しています。
本ワークショップでは、MPLSの技術動向、GMPLSについてIETF、OIF、ITU-Tなど標準化団体で注目されている技術トピックスについて、メンバの研究成果とPILの活動成果を紹介すると同時に、今後のプロトコルコードの検証をすすめるに当たっての課題や研究開発の方向性について皆様からご意見を頂きたいと考えております。単なる講演会ではなく、パネルディスカッションや各企業のデモブースでインターラクティブな技術討論ができるように企画いたしました。積極的なご議論をさせていただければ幸いです。
なお、フォトニックインターネットラボの運営は、総務省「戦略的情報通信研究開発推進制度」の「国際技術獲得型研究開発」プログラムの受託研究「全光網における網制御プロトコル標準化に関する研究」として実施しています
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PIL代表(NTT未来ねっと研究所) 山中 直明
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